地図整備業務では、全国規模の更新対象エリアを定期的に点検・整備する必要があります。しかし従来は「変化があったエリア」はもちろんのこと、「変化がないエリア」にも多大なコストをかけて調査を行っており、効率化が課題となっていました。本稿では、SateBiz会員企業であるジオテクノロジーズ株式会社にご導入いただいた、SAR衛星データを用いた「建物変化点抽出ソリューション」によって、どのように整備コストの削減・更新率の向上・業務標準化が実現されたのかを事例とともにご紹介します。
背景
日本全国を対象とした地図整備は、非常に広大なエリアにおける変化情報を効率的かつ網羅的に把握することが重要です。ジオテクノロジーズ社では従来、衛星画像などの膨大なデータを調達し、AI解析や作業者による目視確認を行いながら地図データを更新していましたが、データの調達に課題を感じていました。
導入前の課題
地図整備においては、過去の整備の際の変化量やこれまでの経験をもとに整備箇所を推測しながら、航空写真や光学衛星画像を入手。その画像データを参考にしながら、地図データに落とし込んでいました。
しかし、調達したデータには変化がほとんど見られない地域も含まれており、整備コストが無駄になるケースが少なくありませんでした。また、整備対象エリアの選定は作業者の経験に基づく判断に依存していたため、効率的とは言えませんでした。このため、「変化の有無を事前に確認し、効果的に調達エリアを選定すること」が課題となっていました。
導入効果
2024年度にご導入いただいた「建物変化点抽出ソリューション」は弊社の「建物変化検知AI」の解析結果を活用したサービスです。全国規模で建物の新築・解体などの変化点を抽出し、変化量の多い地域・少ない地域を定量的に可視化することで、整備の優先度付けをすることができます。
本ソリューションの導入により、ジオテクノロジーズ社は地図更新にかかるデータ調達を含めた整備コストを13.2%削減するとともに、調達データ上の地図更新割合が約1.8倍に向上しており、地図整備業務の大幅な効率化と品質向上を実現しました(図1)。

1) 建物の更新割合が約1.8倍に向上
変化量の多いエリアに対する衛星画像等のデータ調達が可能となったことにより、調達データに対する建物を対象とした更新割合が導入前の平均約5.7%から導入後は平均約10.1%へと向上しました。
2) 更新整備コストを13.2%削減
変化の多いエリアに絞って衛星画像等を調達できるようになった結果、調達を含めた整備に要するコストの13.2%削減を達成しました。
3) 客観的指標による地図整備計画の精度向上
建物の「変化量」という客観的な指標に基づき更新対象(データ調達対象)エリアを選定できるようになったことで、全国を対象に地図更新業務の優先順位付けが可能となり、整備領域の効果的な拡充が可能になりました。さらに、1エリアを整備するのに必要な工数の変化がなかったことから、整備業務自体の生産性向上も確認できました。
まとめ
スペースシフトは建物変化検知AIを活用した「建物変化点抽出ソリューション」をジオテクノロジーズ社の地図整備業務に導入することによって、同社の課題であったコスト負担・更新率・計画精度を改善し、全国的に標準化された整備フローの構築に寄与しました。本事例は、地図整備のみならず、都市計画、防災対策、インフラ管理など幅広い分野への応用可能性を持つものであり、衛星データ活用の先進的な実証例といえます。
本事例以外にも建物変化検知のユースケースや活用方法についてご関心がございましたら、ぜひお問い合わせください。
建物検知AIのデモ画面で、広域における新築・解体エリアの可視化サンプルをご確認いただけます。
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